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バレエ《くるみ割り人形》あらすじと楽曲解説~音楽が救った名作とチェレスタ~

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バレエ《くるみ割り人形》は《眠れる森の美女》 《白鳥の湖》とともにチャイコフスキーの三大バレエ作品に数えられ

このうち最後に作曲された彼の最晩年の作品の一つです。

 

バレエ《くるみ割り人形》のあらすじ

白鳥の湖と眠れる森の美女と同様に舞台はドイツです。

主人公はシュタールバウム家の末娘クララ。

 

クリスマスイブにパーティが開かれ、賑やかなダンスを大人も子どもも楽しんでいるところに

人形使いのドロッセルマイヤーが子どもたちにクリスマスプレゼントを配ります。


クララは不格好な「くるみ割り人形」をもらうのですが、なぜかとても心惹かれるのでした。



ところが兄のフリッツが人形を壊してしまい、クララは自分のドレスの白いリボンを人形に巻き夜遅くまで一人で看病してあげます。


そして真夜中の12 時の鐘が鳴った時なぜかクララの体は人形のように小さくになってしまいます。


するとどこからともなくねずみの王様が率いる軍隊と

それに対抗するおもちゃの兵隊たちが現われて戦争を始めます。

 

おもちゃの兵隊たちのリーダーはクララの看病していたくるみ割り人形でした。


激しい戦いの末にくるみ割り人形とねずみの王様の一騎打ちが始まり

クララが劣勢だったくるみ割り人形を助け、おもちゃの兵隊たちを勝利へと導きます。


くるみ割り人形が凛々しい王子様に変身し、王子は自分を助けてくれたクララをお菓子の国へと誘うのでした。

途中の真っ白で幻想的な雪の国では雪の精や美しい雪の女王が踊ってい
ます。

お菓子の国に着くとお菓子の国の女王「金平糖の精」が 二人を歓迎し

各国のお菓子の踊りを披露してくれます。

 

スペインの踊り(チョコレート)
アラビアの踊り(コー ヒー)
中国の踊り(お茶)
ロシアの踊り(トレバック: 大麦糖の飴菓子)
葦笛の踊り(ミルリトン:アーモンド クリームパイ)


甘やかで夢のような時間を過ごすクララですが、気が付くとクララは自分の家のクリスマスツリーの下で目を覚ま すのでした。



 

 

最初は《くるみ割り人形》の作曲をためらったチャイコフスキー

《眠りの森の美女》で大成功を収めたチャイコフスキーに

マリインスキー劇場は新作として《くるみ割り人形》のバレエ音楽を委嘱しました。

チャイコフスキーは依頼を引き受けたものの、作曲を開始するまでに1年間かかりました。

その理由としては

 

・この童話の世界を表現する自信がなかった

・パトロンであるメック夫人からの支援が途絶えた

・海外からの演奏会のオファーで予定が埋まっていた

 

だったと言われています。

 

チャイコフスキーの心を動かしたチェレスタ

しかしこの疲弊しきったチャイコフスキーの心を動かしたのは、眠れる森の美女を共同制作したプティパの徹底された脚本と演出と

 

チェレスタという楽器との出会いでした。


チャイコフスキーは1891年パリの街を歩いていた時に、5年前に発明されたばかりの最新の楽器”チェレスタ”の音を耳にしました。

 

彼自身はすぐアメリカに行かなくてはいけなかったので

ロシアにいる親友に

「だれにもこのチェレスタを見せないでくれ!特ににリムスキー=コルサコフやグラズノフに見せてはならない。これは絶対に私が最初に使うから!!」

と手紙を出したそうです。

 

そしてそのチェレスタを初めてオーケストラで使ったので

”金平糖の踊り”です。↓

 

くるみ割り人形はバレエ初演より先に組曲版が発表された

バレエ《くるみ割り人形》を作曲中の1892年3月に

チャイコフスキーは急遽ロシア音楽協会から新作を盛り込んだ演奏会の依頼を受けました。

しかし手元に発表できる作品がなかったのでやむを得ず作曲中のくるみ割り人形から8曲選び取って組曲にして発表しました。

 

それは大成功で、チェレスタにも大きな反響がありました。

くるみ割り人形の初演が不評だった理由

しかし残念なことにくるみ割り人形のバレエの初演は高い評価を受けることはできませんでした。

 

不評だった理由は

・総合演出家のプティパが急病で倒れてしまい振付を弟子に委ねたことによる質の低下

・台本がいまいち

 などが挙げられます。

くるみ割り人形の脚本がバレエ団ごとに異なる理由

ストーリーも夢オチだったり、白鳥の湖のような深いテーマもないのでおもしろく脚本するのは難しかったのでものの

音楽の人気からバレエも再演され始めます。

 

しかし

これがくるみ割り人形

という良い脚本がなかったため、バレエ団は各々で自由に独自の脚本を作り上演するようになったのです。

 

音楽がバレエを救ったのですね。

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