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バレエ《ジゼル》のあらすじと解説~ジゼル死亡シーンの演技と美しいコールド~

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バレエの中でも最も上演される機会の多い作品の一つで

《白鳥の湖》などのクラシックバレエより前の”ロマンティックバレエ”の形式です。

今回はこの重要な作品について解説していきます。

《 ジゼル》のあらすじ

舞台はチャイコフスキー3大バレエと同じくドイツ。

中部のテューリンゲンという地域の村が舞台です。

第1幕

踊りが大好きで純粋、しかし心臓が弱い村娘ジゼルがいました。

そこに貴族(公爵)であるアルブレヒトが身分を隠し”ロイス”と名乗って村にやってきてジゼルに近付きます。

すぐに恋に落ちるジゼル。

 

しかしそれがおもしろくないのはずっとジゼルに恋い焦がれている森番のヒラリオン。

ヒラリオンは小屋に隠してあったアルブレヒトの服や剣を発見します(貴族である証拠)

 

そしてそんな中、アルブレヒトの婚約者である大公令嬢のバティルドとその一行が狩りの途中に村を立ち寄ります。

 

村人は貴族たちを歓迎しジゼルとバルティドも親交を深めます。

 

アルブレヒトが村人と踊り、貴族が一旦小屋で休んでいるところに

ヒラリオンが剣を突き付けてアルブレヒトの身分を暴きます。

 

混乱するジゼルをごまかしてなだめようとするアルブレヒト。

 

しかしヒラリオンが角笛でバティルドを呼ぶと

アルブレヒトもごまかしきれなくなり礼をしてバティルドの手にキスをします。

 

それを見たジゼルは錯乱状態に陥ってしまい、死んでしまいます。

 

アルブレヒトは”お前のせいでジゼルが死んでしまった”とヒラリオンを責め、

ヒラリオンも”ジゼルを騙し死なせたのはお前だ”アルブレヒトを責めます。

 

アルブレヒトはジゼルの母と村人たちから村を追い出されます。

 

第2幕

ヒラリオンはジゼルに許しを請いに墓地を訪れます。

その森の沼のほとりの墓地は

結婚を前に亡くなった処女の精霊が集まるところで、ジゼルは女王ミルタによって精霊の仲間に入れられていました。

 

精霊たちは夜に森に迷い込んだ人間や、女性を裏切った男性を死ぬまで踊らせているのでした。

 

王子に騙されていると諭し、

ジゼルを愛していたヒラリオンはここで精霊に殺されてしまいます。

 

そんな中で後悔と悲しみにくれたアルブレヒトが墓地を訪れ、亡霊になったジゼルと再会します。

 

精霊ミルタはアルブレヒトのことも死ぬまで踊らせようとし、ジゼルが必死に命乞いをしますがミルタはそれを許しません。

 

アルブレヒトの体力も尽きかけた頃、朝を告げる鐘が鳴り朝日が差し始めると精霊たちは墓に戻っていきアルブレヒトは助かります。

 

またジゼルも朝日を浴びるとアルブレヒトに別れを告げて消えていくのでした。

 

 

ロマンティックバレエの代表作《ジゼル》

ジゼルは1841年にパリで初演された作品で、音楽はアドルフ・アダン。

ロマンティックバレエのスタイルで、現在踊られている中で最も古いスタイルです。

他のロマンティックバレエの作品としては《ラ・シルフィード》や《コッペリア》などが挙げられます。

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スカート状になっていてるチュチュが特徴で、クラシックにあるような技巧的な踊りはありません。

 

この時代はバレエの技巧+演技というように分離されておらず

演技もすべて踊りの中に含まれているのが特徴と言えます。

 

音楽も非常にわかりやすく、各キャラクターのモチーフがあり

ジゼルが発狂するところやアルブレヒトが精霊に踊らされるところなど

シーンに合わせた音楽が作られています。

 

ブルグミュラーがペザントを作曲

ガラコンサートや発表会などでよく踊られる”ペザント”ですが、この曲はアダンではなくブルグミュラーです。

ブルクミュラー25の練習曲  全音ピアノライブラリー

ピアノを習っていたら誰もが勉強する楽しい曲集でお馴染みの”ブルグミュラー”

ブルグミュラーは名前の通りドイツ人ですが、28歳でパリに移り住んでいたのでこの作品に携わる機会があったのですね。

ピアノで有名なブルグミュラーですが、管弦楽曲で現在最も演奏されているのはこのジゼルのペザントです。

最後のワルツは”レーゲンスブルクの思い出”というタイトルもついています。(レーゲンスブルクは南西ドイツの街でブルグミュラーの故郷)

 

ジゼルもプティパによる改定でヒット

ジゼルは初演が不評だったということはなかったそうですが

現在の振付けと演出にして定番の演目にしたのはマリウス・プティパです。

プティパは白鳥の湖を復活させたり、眠れる森の美女を大ヒットさせたロシアのカリスマです。

プティパは2幕を大きく変更し、精霊の群舞が揃って重なり合っていく

隊形でみせる形にしました。それが大きな見どころとなっていますね。

ストーリーと直接の関係があまりない「踊りのための踊り」というのはプティパが完成させたクラシックバレエのスタイルでもありますね。

 

そのため現行のジゼルはロマンティックバレエとクラシックバレエの過渡期的な作品ともいえます。

 

《ジゼル》の見どころ

ジゼルの見どころはロマンティックバレエらしい踊りと演技が一体となっているところと、2幕の森の精霊たちの整ったコールドだと思います。

 

ジゼルが死んでしまうシーン

ジゼルがあまりのショックに発狂し死んでしまうというシーンはとても長丁場な上に高度な演技力が要求されます。

他のバレエにはあまりないようなシーンなので様々なダンサーの演技をご紹介します。

微笑んでいるのが本当に怖いカレン・カイン

Carla Fracci 

2:35 Diana Vishneva
5:02 Maria Kochetkova 
7:29 Natalia Osipova 
9:42 Svetlana Zakharova 
11:48 Alessandra Ferri

第2幕の揃った群舞

白鳥の湖でも見どころの女性の群舞が素晴らしいです。

アラベスクしながら交差していくところは圧巻です。

ジゼルの魅力

とてもバレエらしいロマンティックなストーリーと、多く盛り込まれた演技、ヴァリエーション、群舞とジゼルはとても魅力的な作品です。

作品が生まれた本国フランスでは18世紀上演されなくなってしまいましたが、プティパのおかげもありロシアではずっと上演され続けました。

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